下府の家

 

敷地は、南北に伸びる緩やかな広さを持つ場であり、北は私鉄の線路に接し、南側道路、東西は住居が境界ギリギリまで立ち並ぶ場である。
家族構成は40代のご夫婦と、近々同居される親の3人。
まず、敷地を見てのインスピレーションとしては、リビングを敷地の中心に据えることをまず思い浮かべた。
そうすることで、南にニワがあり北にもニワをとれる。
リビングには南北に抜けるデッキがあり、ニワがあり、風が通り抜け、外→中間→内→中間→外というように緩やかに外部と繋がっていくような空間を目指した。
リビングを中心に東に水廻り、寝室を接続させ、西に和室、寝室というように、H型にシンメトリーに配置していった。動線が、中心のリビングを必ず介していくので、そこは全て生活の
中心としての意味作用はっきりと示す空間になっている。
内部空間においては、場によって勾配天井であったり、低い天井があったりとそれぞれの差異によって空間の変化を持たせ、外部ではH型になった平面を1m以上の深い軒の一体の屋根で覆い、デッキは中間的な空間として
リビングの延長空間となる。
また、屋根を一部透明にし、光の差し込むデッキ空間となっている。
南側のニワは木塀で覆い、外部からのプライバシーを守る。
街路沿いの樹木が育つごとに住まい手側からも近隣住人からも四季の風景の移り変わりを見ることができる。

竣工時期 2007年

施工 長崎材木店
延床面積 131.55