八幡の家

敷地は北九州を長年支えた八幡の工場地帯から、中心の駅を超えて商業地域にやや近い町工場の並ぶ場所である。施主は戦後より事業を地道に経営してきたご家族であり、その経営している事務所や倉庫、車庫を内包する住宅となった。
1階は月1度の集まりに使用する集会室、高齢のお母さまの居住スペース、トラック用の車庫と倉庫。
2階は事務所と2棟分の賃貸スペースを設置することとなった。要求されたボリュームに対して、それぞれの居室に採光や通風を確保する為にまず取り入れたのは、敷地の中心に庭を配置して、その周りに居室をそれぞれに配置することで解消した。
 
1階はコの字、2階はGの字のプランが重なるような形状である。
1階の集会室から望む中庭は来客を出迎え、また開口部に庇があるので、しっとりとした光を取り入れる。
1階リビングでは障子により一旦中庭に入る光を調整できるようになっており、日々の時間帯の中でも庭の違った表情を見る事ができる。
2階の各リビング、各寝室、事務所からも中庭を見る事ができ、全体的に鬱蒼としがちなボリュームであっても通風、採光をしっかりと得られたのである。
 
6つの要素が中庭を介して繋がりつつ、プライバシーを分けるものとなっています。商業地域の町工場に囲まれる場所で、外を閉じつつも、内側に自然を感じられるような場所となった。

竣工時期 2015年

施工 星和住研
延床面積 298.30