藤松の家(平屋の住宅)

北九州市門司の古くからの住宅地に建つ、夫婦と子供ひとりのための住宅である。ご主人は建て替え前よりこの敷地で生まれ育ち、なじみのこの場所に居を構えることを望んだ。

周囲を住宅に囲まれたこの敷地は、旗竿の敷地であり、要求された居室のプラン配分をすると何となく窮屈に感じた。また、外周は隣地のやや高いブロック塀に囲まれており、なんとなく閉鎖的な雰囲気である印象を受けた。

プランは敷地めいいっぱいに入れ込んだ居室群をアプローチ側よりあえて奥行き感を出さずに910mmの奥行の玄関、廊下を横広にすることで居室の繋がりを視覚的に繋がりやすくし、視線の操作として、対角線上に開口を配して、常に視線の抜ける場を連続させる操作をした。
リビングでは小川側に大開口をとり、開口部の操作として、障子、サッシ、格子戸と光の入れ加減も調整できるものとしている。さらにそれぞれの居室をなるべく巾広の建具で仕切り、それらを開け放てば一体の居室となる。
外部のデッキによっても繋がり合うように回遊性のあるプランとしている。洗面室も小川側に大きな開口をとり、浴室の窓からも洗面室の開口を通じて小川を眺めることができる。

これらのように敷地の特性から、独立性のある住宅ながら、空間のちょっとした繋げ方、視線の操作によって緩やかに外部とつながり合う。

竣工時期 2016年

施工 星和住研
延床面積 117.31